幸福が嘘や幻想の上に成り立っているなら、それ以上の不幸もあるまい…
などと思わずにはいられない。
気づかなければ良いのか。
そういう問題なのかとも。

友人には死ぬまでだましきってくれたらそれでいいと言ってのける者がいる。
俺は言った。
お前は一生あざむかれる程馬鹿ではないだろうと。

嘘は嘘を生み、膨れ上がっていく。
その無数の嘘に取り巻かれることの違和感に気付けぬ程、我々は鈍感にできていない。

嘘つきの性質も、それを見抜いてしまう性質も、人間の悲哀のもととなる。

幻想は…幻想については、その魔法が解けてしまえば、そもそも嘘をつかれようが目一杯の愛を注がれようが、もはやそれまで。

季節は移ろう。
冬が終われば春がくるし、春だってそう長くは続かない。

“変わらないものなんて、本当はないってことさ”
とは、とある友人の歌。


かずゆき