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ongeinakanoの日記

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2011/11/01(火)
「M.デイビス「天国への七つの階段」@」

ジャズの歴史を変えた運命の出会い、…それは代役探しから始まった。
                                 (音楽愛好家・小栗勘太郎 著)

人生において真に語る価値のある事は多くは無い。
それでも、人との出会いは、大いに語りたい事の一つだ。邂逅という素敵な言葉もある。運命の出会いは人生を変える力を持つ。それは、幸運の扉を開くこともあるし、不運を呼び込んでしまうことだってある。
 ビジネスの現場は、日々、出会いに満ちている。
人事異動で新しい上司や同僚や部下と出会う。新しいプロジェクトの立ち上げで新しいビジネス・パートナーと出会い、新規の顧客開拓で素敵なお得意さんが生まれることもある。新しい出会いには、トキメキがあって刺激がある。
 だから、出会いの瞬間は大切にしなければならない。
 出会った時の印象が全てを決めることだってある。ファースト・インプレッションがラスト・インプレッションになって、一巻の終わりということもある。一目惚れで永遠の愛が始まるように、一瞬にして、強力なビジネス・パートナーが誕生することだってある。
 例えば、ラリー・ペイジがセルゲイ・ブリンと出会ったことでグーグルが始まった。天才的な二人ではあったが、未だスタンフォード大学の大学院生で、全く無名のミスター・ノーボディー同士だった。
 さて、ビジネスの現場で起こっていることは、音楽の現場でも起こっている。
 日々、我こそはと自らの才能に自負を持つミュージシャンが、生き馬の目を抜くように競い合う。昨日の成功体験に安住してしまうと、明日には時代遅れになってしまいかねない。前衛の矜持を胸に、新しい響きを追求しなければ時代に取り残される。
 でも、新し過ぎると聴衆はついて来れない。斬新な響きを求める一方で、その音楽が聴衆に愛されることも望むし、誰にも似ていない個性を尊重する一方で、普遍的な美しさに肉薄したい。一見、矛盾するものの両立を目指すのが芸術家なのだ。だから、新しい可能性を求めて新しい出会いを欲する。
 しかしだ、最初の出会いが常に劇的だとは限らない。次善の策として選ばれた同僚が、実際に仕事をしてみると、本物だったと気がつくこともある。その出会いが実は運命の出会いだったのだと、後になって分かる。
 例えば、マイルス・デイビスの場合は、どうだったか?
                           ※
 マイルス・デイビスは、ジャズの帝王と評され、常に真新しいスタイルを創造した。そのスタイルは強力な求心力を持って時代を牽引した。しかし、そのスタイルが普遍化し、時代の標準になる頃には、何の躊躇もなくそれを捨て去った。40年後半代のクール・ジャズ、50年代前半のハード・バップ、50年代後半のモード奏法、60年代前半の新主流派、そして60年代後半には電化を推し進め、70年代にはファンク、ヒップ・ホップへと展開して行った。
 マイルスが革新的で自由な響きを創造する時、その原動力は、もち論、マイルス自身の稀有な才能だった。しかし、若くて無名で個性的で才能に溢れた新メンバーの存在も、重要な鍵だったのだ。新しいメンバーは、当然のことながら、マイルスから薫陶を得て、才能の原石が研磨される。同時にマイルスもまた新メンバーから強烈な刺激を得ていた。
                           ※
M.デイビス「天国への七つの階段」Aへ続く

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