白血球は思った。

「どうして僕はこんなにも不安定なんですか？」

白血球が血管内にとどまる時間は4〜10時間……赤血球の120日とはあまりにも差がありすぎます。神様は答えました。

「おまえには様々な使命があるのですよ。だから、様々な姿に変わる能力もあるのです」

　白血球は喜びました。そういえば、好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球と白血球には様々な種類があります。そしてそれぞれに違う役割を果たせるのです。好中球は真っ先に異物処理をします。アレルギー反応には、寄生虫疾患で増加する好酸球やヒスタミン・ヘパリンを含有する好塩基球などが関与します。単球は血管内から組織に移行するとマクロファージとなります。リンパ球はT細胞、B細胞、NK細胞のいずれかに分化して免疫に関与します。


　Bリンパ球は骨髄で産生されます。Tリンパ球の前駆細胞は骨髄をでて胸腺で成熟が進み、CD4またはCD8のいずれか一方のみに反応し（陽性となり）、成熟T細胞となり、血液中あるいはリンパ節へと移行します。普通のT細胞はCD3陽性、ヘルパーT細胞はCD4陽性、サプレッサーT細胞はCD8陽性、B細胞はCD19陽性です。ちなみに、ここに出てきた「CD」とは表面マーカー（細胞の表面に存在し、免疫に関与します）のことです。


　白血球は思いました。限られた寿命だからこそ、強い使命が与えられているのだと。今日も白血球は人体を守るために奮闘するのでした。