無料ケータイHP

クリニックの日記

累計アクセス:42897
2018/06/25(月)
「生きよ!生きぬけ!」

 道端に紫陽花が咲き、水田に早苗が揺れる季節だ。1時間余の通勤が心楽しくなるこの季節が好きだ。もうひとつ好きなのが真竹だ。中九州横断道にも真竹の群落があり、今年生まれ命を紡ぎ始めた今年竹がある。
  不揃いも皆まっすぐに今年竹 明寛
 まっすぐに生きて欲しい、と願うのは子ども達のことだ。親はもちろん大人たちの一番の願いだ。
 先日の土曜日、子ども達に話をする機会が与えられた。私の住んでいる校区で、子どもやみんなの居場所として,ボランテイアの皆さんが開催している「こどもとみんな広場」がある。そこで私もボランテイア活動をしたかったので、手を挙げていたのだ。何を話そうかなと思案した。私が医師を生業としている強みを活かし、子ども達に「命」のことを考えて欲しいとの思いで、「心臓を学ぼう」をテーマに選んだ。
 4歳から11歳の15,6名の子供達に、心臓関係のクイズと聴診器で心臓の音を聞いてもらい、そして自分の脈を触れてもらう内容にし、「命と生きる」を考えるきっかけになればと願った。心臓が一日約10万回動くのには驚いていた。私が感動したのは、子ども達が聴診器で自分の心音を聴いた時だ。一瞬目を見開き口が開いた。初めて自分の心臓の音を聞いた驚きと感動があった。更に私の胸にぐっときたのは、全員が真剣に脈を触れ数えている姿だ。ひと言もしゃべらず、右の指で左手首の動脈を触れていた。自分の知らないところで、心臓が一生懸命働いていることを指に感じ、自分の命を確実に直に感じとった姿だった。部屋全体に命の気高さが醸しだされ、今日は来て良かったと思った。
 最後に子ども達にエールの詩を贈り、私の話を終えた。その詩を披露します。
「ありがとう 心臓さん」
   心臓さんは
   みんなの命をまもっている
   寝ないで頑張っている
   ありがとう!と言ってあげよう
   心臓さんに感謝することは
   生きることです
   あなたが困っているときは
   心臓さんは元気をくれる
   あなたが前に歩き始めるように
   あなたが嬉しいときは
   心臓さんも喜んでいる
   あなたといっしょに
   あなたが寂しいときは
   心臓さんも悲しんでいる
   あなたの友達だから
   あなたが生きているかぎり
   心臓さんはあなたを助ける
   決してひとりぼっちにはしない
   だから生きよう
   安心して
   いっしょうけんめい生きていこう
   あなたの
   きみの
   夢をかなえるために
   そして
   ともだちやみんなを
   助けるために
   心臓さんといっしょに
   生きてゆこう
   どっくん
   どっくんと
 この話をしながら、 “もうおねがい ゆるして ゆるしてくださいおねがいします”
を書き残し亡くなった5歳の結愛ちゃんを考えていた。子ども達に不条理な出来事が訪れることなく、あの若竹のようにまっすぐに夢を叶えるまで生きぬいて欲しいと願い、そして私自身、戦争はもちろん虐待という不条理を許さない信念を持ち、身近な子ども達を見守ろうと心に誓った一日だった。
(清川診療所 坪山明寛)

ログイン


無料ケータイHP


FC2無料ケータイHP