一番初めに言ったのは、
「自分の考えをもっていること」

その次に、
「美意識があること」

最後に、
「ユーモアのセンスが合うこと」

あなたの答えは実にシンプルで、淀みがなく、すらすらと口をついて出てきて、私は驚いてしまった。

もちろん、それぞれに理由も聞かせてもらった。ひとつひとつは当たり前のことかもしれないけれど、そんなふうに当たり前のことすら、きちんと言語化できなかった私は、すっかり感心してしまったものだ。

いま、
あなたは誰と。

自分なりに物事をいろんな面から考えて、きちんと意見を言えて、美しいものを美しいと認め、その価値を大切にし、そして真面目一方でなく冗談も言って笑いあえる、そんな誰かと？

「こんなに気の合う人に今まで会ったことないね」

なぜ私は、それを否定するようなことを言ってしまったんだろう。ささやかな復讐心？それとも馬鹿正直か。

あなたは誰と？

歳が降った、歳月だけが降り積もった、それは白く、濁らずに、あの日に咲いていた白木蓮の花びらのように。

誰と？

あなたは、いま誰かといるのでしょうか。