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kasugadotsuboの日記

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2010/12/30(木)
「『行く年…来る年もまた』1ブル遊」

『行く年…来る年もまた』〜行く年編〜

 「遊星、窓の掃除終わったよ。」
バケツに雑巾、ワイパーを持ったブルーノがガレージに入ってきた。

Dホイールと、ブルーノのスクーターを表に出してしまい、遊星はガレージの掃除をしていた。

「ああ、ありがとう。ブルーノがいると脚立を出さなくていいから助かる。」
いつものグローブではなく、ジャケットの袖を捲くり、軍手をして工具棚の掃除をしていたらしい
遊星が棚の後ろから出てきた。

その顔を見て、ブルーノはクスッと笑うとポケットからハンカチを出し、少しかがんで遊星の鼻の頭
をやさしく拭う。

「鼻に油がついてるよ。それに、髪もホコリだらけだ。」
特徴的な髪型にうっすら積もったホコリも丁寧に払うと、至近距離で目を合わせる。

「はいっ、綺麗になった。」
「俺は、WOFか?」
言いながら、遊星は至近距離で目を覗き込まれて赤面する。

「遊星は遊星だよ。それに元から綺麗だもの。WOFも美人だけど、それはDホイールの美人であって
遊星とは違う次元だからね。」

チュッと音を立てて鼻先にキスをすると、両手で遊星の顔を捉えて唇を重ねた。

唇が重なると同時に、長い睫が伏せられ青が隠されるのを惜しいと思いながらも、ブルーノは目を開けたまま
口付けを深くする。
「んっ…。」
鼻にかかった遊星の声が、ブルーノを刺激し咥内で激しく絡み合い、酸素を求めた遊星が唇を離そうとすると、
スッと首筋に手を入れて逃すまいとすると、ビクリと遊星の肩が震えてブルーノの腕を掴んだ。

「はっ…ブル…ノっ。ぁっ、冷たっ。」
途切れ途切れに紡がれた声に、ブルーノはハッとして、手と唇を離す。

「ゴメン!冷たかったよね。」
急に支えを失った遊星が膝から崩れ落ちて、掴んでいたブルーノの腕に縋り付くような姿勢になった。

しかし、それを支えられないブルーノではない。

遊星を引き寄せると、その背中を強く抱きしめた。

「ごっ、ゴメン。大丈夫?」
「…謝ってばかりだな、ブルーノは。」
今度は、遊星がクスッと笑った。

「あっ、ゴメン!」
「まただ…。これで、今年は謝り納めにしよう。」
遊星は、ついつい謝ってしまうブルーノの癖を封じて、自分の足で立つ。

「謝り納め?」
「ああ。今年も残すところもう、数時間だ。本当に悪いことをしない限り、謝るのはやめよう。こんなことで、俺に謝らなくていい。
そうだな、謝らずにいられたら何か…。」
「えっ、ご褒美?」
「…そうだな。考えてもいい。」
軍手を外すと、遊星は一回り大きなブルーノの両手を取って包み込み、息を吹きかけた。

「ゆっ、遊星。」
「冷たいな…。外は、寒かっただろう。」
ブルーノの手を温めようとする遊星のしぐさにドキリして、ブルーノはしばし遊星に見とれる。
軍手に包まれていた遊星の手は暖かかったが、冷たいブルーノの手に温度が移り、今度は遊星の手が冷たくなってきた。

「もう、大丈夫だよ。それに僕は、寒さには強いから。」
手を引こうとするブルーノを思いのほか強い遊星の力が、引き止める。

「遊星?」
「…あ、ああ。すまない、もう少しこうしていたいんだ。」
ちらりと上目遣いで見上げられると、理性というものは簡単に陥落してしまう。

「う、うん。」
カアッという音を立てそうな勢いで、ブルーノが今度は赤面した。

31日の日記に続く

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