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kasugadotsuboの日記

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2010/11/18(木)
「TF5 ジャックのハート3つ目より(3)END」

注:TFベースなので本編とは流れが異なります。悪しからず!

<3>

思い当たるのは、去り際に奴らが残して行った台詞。「不動遊星、お前の呪いは終わっていない。」奇妙な笑い声が耳に着く、忌々しいガキだった。


「それ以上言うな!呪いだろうが運命だろうがこの俺が、共に戦ってやる。破滅の運命とやらも叩きつぶしてやるくらいにな。
俺は、目的の為なら犠牲を出すことを厭わず突き進む。だが…お前は、己を犠牲にしても全てを守りたい…そう言う性格だ。」
ジャックは遊星を抱き直すと、目尻に口付けた。

「お前が戦うというのなら。俺は、お前とどこまでも肩を並べて、共に道を切り開いてやる。お前がどんな呪いを背負っていようと、
破滅の運命を抱えていようと、お前の抱える破滅をも凌駕し、俺が!お前の手を掴んでやる!!」
ジャックの言葉は、どこまでも力強く、彼が本気であることを伝えてくる。

「だが…遊星。これだけは覚えておけ、自己犠牲だけは許さん。」

アメジストの瞳が、深い色のサファイアを真っ直ぐに見つめていた。

「ジャック…。」

「どんな運命を背負っていようと、遊星は遊星だ。お前が傷つき、ましてやその命までもを投げ出す事を喜ぶ者はいない。」

おそらく、お前の代わりになることを望む者はいても…。


「敵がなんであろうと、俺は、お前と共にある。遊星、お前は俺から離れるな。お前の隣に立つのは、ジャック・アトラスだと。龍の痣にかけて誓う。」
しっかりと遊星の身体を抱き留めて、その心の奥まで届くように言い放った。

「お前は、どうなんだ。自分を犠牲にしないと…。奴らと戦う時は、俺の傍に居ると誓えるか?」
勝手に一人で行くなというニュアンスを含ませて、遊星を見つめた。

「…ジャック。」
身体が辛いのか、ふわふわと焦点が落ち着かなくなっている遊星に気づいたジャックは、遊星を抱える腕の力を強めた。

「ジャック…っ、ありがと…。」

一瞬、何とも言えぬ泣き笑いのような顔を見せた遊星だが、ジャックに抱き寄せられるままその胸に顔を埋めると、大粒の涙を一粒だけ零して、再び瞼を閉じてしまう。


結局、明確な返事は、聞けぬままだった。

「…誓いではないが、それと同等とみなすぞ。遊星。」
まつ毛に溜まった雫を吸い取ると遊星を抱き直して、ようやくたどり着いたパトロールの車両の前に仁王立ちする。


「遅い!!」

腹に力を入れて怒鳴り飛ばせば、深影と牛尾が飛び出してきて頭を下げる。

「す、すみませんアトラス様!」
「悪りぃ、ディアブロの残骸を迂回していたんだ。所で、遊星は?」

「見て解らんか!実際、駆けつけるのが遅れていたら危なかった。まあ…その部分は、牛尾に感謝しておく。」
ジープの為助手席にしかシートは無く、下りてきた牛尾を置き去りに、ジャックは遊星を抱えて助手席に座った。

「へ。ジャックが、礼…。俺は、夢を見てるのか?」
世にも珍しい物を見たと、牛尾が呆気にとられている間にジープは発進していた。


「病院はどこもいっぱいですが、セキュリティ権限で捻じ込みます。しっかりつかまっていてください。」
「うむ。任せた。」
キング時代のように鷹揚に頷くと、遊星をしっかりと抱いて振動から守る。
頬に残った涙の痕は、そっと拭ってやった。

深影がどんな指示を出したのかは不明だが、病院のエントランスにつけば、あっという間に遊星を取り上げられ、気がつけば、
個室に落ち着いているのが現状だ。

「ほとんどが、打撲と裂傷です。ただ、未知のダメージで身体を痛めています。安静は必要ですが、心配は無いそうですわ。」
「…そうか。」
ジャックは、深影の報告に安堵しながら、絆創膏の張られた遊星の頬を撫でている。

「アトラス様…。」
ジャックの様子を見て、深影が声をかけた。

「世話になったな。」
「いいえ、こちらこそ。我々セキュリティがふがいないばかりに…。」
深影は、ジャックが何も言わないでいてくれることに感謝をすると、一礼して部屋を出て行く。


強敵だったと思う。

そんな相手と、WRGPでも戦うことになるのだ。

「もう俺の知らぬところで傷つくな。あんな思いは、二度としたくない。」

あの時。ダークシグナ―となった鬼柳に遊星が敗北した時は、成す術もなく、置き去りにするしかなかった。余程の事が無ければ、転倒してもすぐに起き上がれない遊星ではない。深手を負ったのだとすぐに気付いても、何もしてやれなかった。

だからこそ、ジャックは、心の底で鬼柳を許せずに居る。


「…遊星。もしもお前が運命に飲まれそうになった時、俺がその手を掴めなければ・・・いや。もしもはない。俺は翼を司る者だ。
お前を闇に堕としはしない。」

ジャックは、遊星の腕にあるドラゴンヘッドの痣に、己の腕を重ねると手を握った。

「もう二度と離さん。…俺から離れるな、遊星。」


END

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