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kasugadotsuboの日記

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2010/09/24(金)
「遊星にゃん第3話-2」

雷が怖い遊星にゃん 3-2 

アクセル兄さん編


「ふふ、ブルーノから聞いている。朝から何も食べる余裕が無かったのだろう。」

ブルーノからそれを聞いた時、アクセルは、こんなことならプラシドと口論などせず、一気に沈めておくべきだったと反省したくらいだ。

「今なら、雷は遠い。それに、私もいる。安心するといい。」
差し出されたカップは、猫舌にも優しい温度になっており、アクセルがそっと傾けてくれるカップに口をつけて、温められたミルクを飲む事が出来た。

 飲み終わったところで、口元を手でぬぐおうとすると、指先でそれを止められ、ティッシュペーパーで丁寧に拭いてくれる。しかも、心なしか楽しそうだ。
「すまな…。」
「違うだろう、謝る所ではないな。」
アクセルの指先が咎めるように、軽く頬をつつく。
「あ…。そうだな。…ありがとう、アクセル。」
「それでいい。」
まるで、ご褒美のように耳の付け根にキスを落された。

アクセルが作業をする間だけ、ふわふわの籠で待っていたが、紅茶のポットとカップをのせたトレイをもって休息に来たところを見ると、遊星は籠から出て、小さな手でチョイチョイとアクセルの服を引っ張った。
「どうした、遊星。」
「…そばに、いていいか。」
まだ、熱があるらしく顔も赤いままだが、籠に寝かせておくよりも膝の上の方が暖かいかもしれない。
「かまわない。むしろ、歓迎だ。」
そうして、お茶を飲みながら膝の上で丸くなっている遊星にゃんを撫でつつ、携帯を開くと、ブルーノからのメールが入っていた。

<遊星の具合はどう?熱は?ご飯は何か食べられた?また雷鳴ってたよね…心配だよ〜>
「あいつ…。」
まるで、ブルーノがそこに居るような錯覚をさせるようなメールに焦れたアクセルは、電話をかけていた。

片手は、遊星にゃんを温めるように、そっと添えたまま。

「あ、兄さん!遊星は?元気になった?」

「お前は、一言目にそれか…。」

「だって、それ以外ないじゃない!で、どうなの。」
そわそわという擬音が聞こえそうなほど落ち着きがない様子が伝わってくる。

「さっき、ミルクは飲んだ。熱は、まだ少しあるが自力で歩けていたし、先程より、マシだろう。」

「良かった――。僕、今夜遅くなりそうなんだ、明日迎えに…。」

「その必要はない、調子が良さそうなら、午後一番に送って行こう。ただ、天候がな。」

「あ、うん。明日も雨だからね…。」

当分、プラシドが暴れる心配はなさそうだが、天災は仕方がない。

「小さい身体では、何が悪い影響になるか解らん。お前が過保護になるのも少しは解るつもりだ。」
アクセルから出た、珍しいくらいの甘い言葉に、ブルーノは状況を察する。
「あ!今、抱っこしてるでしょう。…すごく可愛いよね。」

「…ああ。それは否定しない。」
否定しないどころか、一度抱いてしまうと情が移るというか…。なんというか。

「とにかく様子を見て、連絡を入れる。お前も仕事が終わったら、休んでおけ。私がフォローできる部分は、してやろう。」

にゃんこの遊星と、少しでも長い時間を過ごしたいというのが本心だが、元に戻った元気な姿で、共に走りたいというのも本心だった。

つづく

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