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kasugadotsuboの日記

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2010/09/22(水)
「『遊星にゃんシリーズ』2話」

雷が怖い遊星にゃん その2 
十六夜アキ様編

「酷い雷ね…。」
優雅に、ティーカップを口元に運びながら、アキは外で光る稲光を眺めていた。

「遊星、そんなところに居ないで、こっちにいらっしゃいな。怖いんでしょう、雷。」

ネコなんだから仕方ないじゃない。と、植木鉢の陰に隠れていた遊星にゃんを引っ張りだすと、ふくよかな胸に抱きしめた。

「お、おい、アキっ!」
「ふふふっ、いいじゃない。今はネコなんだもの。別に私は、ネコじゃなくても構わないけれど。」
耳の付け根あたりを指先で細かく撫でてやると、それは気持ちいいらしく、力が抜けてしまうようだ。

「うっ、にゃっ…。俺が、構うっ!!」
気持ちいいのと、恥ずかしいのとで、理性を総動員しても顔が真っ赤になってしまうのは、元が健全な成年男子だからだ。

「遊星、今!あなたニャンって言ったvv可愛い〜ぃ。」
女性特有の細い指先が、ピンポイントで気持ちいい所を突いてくる。耳の後ろだけでもう、身体がふにゃふにゃになる。

「にゃっ、うっ…。やめっ、ああっ、アキっ!!」
遊星は、ただアキの名前を呼ぼうとしただけなのだが、それが感極まった嬌声のように聞こえてアキは、赤面していた。

「遊星…。いい声ね。」
ほう…と、恍惚とした表情で、ここぞとばかりに弱いところ攻める。
「あっ、にゃぅ…。ひぁっ、もっ、もうやめてくれっ。」
ここまでされても、爪を立てないのはネコでも遊星だからだろう。

基本、十六夜アキが、ドSであることを忘れてはいけない。そして、過去、一番それを受け止めたのが遊星だったということも。

限界まで我慢して顔を真っ赤にした遊星にゃんに、追い打ちをかけたのが雷だった。

バシッツ、ゴロゴロードーン。

パニック状態で、咄嗟に飛び込んだのはアキの胸の谷間。

「あらv大胆ね。そういうのも、嫌いじゃないわ。」

そこへ飛び込んできたのは、唯一暇を持て余していたジャックだ。
「遊星!大丈夫か!!」
「邪魔しないでくれるかしら、この時間は私のターンよ。」

見れば、アキの胸元に完全に埋もれて出られなくなっている遊星にゃんの姿が…。

「貴様!遊星を圧死させる気か!早く解放しろ!!」
そこはかとなく赤面しながら、ジャックはアキに詰め寄る。

「取れるものなら取ってみなさいよ。」
「ぐっ…貴様。卑怯だぞ。」
「何とでも。」
アキが、谷間から引っ張りだした遊星は、顔を真っ赤にして目をまわしている。

「うぶなのね…可愛いわ。」
細い指先で顔をつつけば、ピクリと反応した。

「もう…我慢ならん!デュエルだ!遊星は俺が預かる!!」
「受けて立つわ!私が勝ったら、今日は家に連れて帰らせてもらうから!」
「待て!お前ら、遊星の意思は完全に無視かよ!」
宅配から帰ってきた、クロウが目をまわしている遊星にゃんを抱き上げると、無事を確かめる。

「とりあえず、没収!!それから、デュエルは外でやれ!」
 クロウは、遊星にゃんを回収すると、部屋から出て行った。

「この荒天でデュエルをしろと…。」
ジャックが、クロウの背中を見送っていると、アキが挑発してきた。
「あら、雷くらい何よ。逃げるの?」
「誰が逃げるか!後悔しても知らんぞ!!」
「それは、どちらの台詞かしらね。」

「「デュエル!!」」

嵐の中で、ブラックローズとレッドデーモンズが大暴れしていた。背景の雷が、より激しさを演出している。

「しょうがねぇなぁ…あいつらは、ったく。」
普通に遊星の頭を撫でてやると、そっとケージに入れて、クロウは夕飯の支度を始めた。

「くっ、引き分けなんて…。」
「ふん。お前がサレンダーしないからだ。」
ジャックによって、道連れにされたアキは、彼らしくない終わらせ方に負けたようなものだ。
「いいわ、ここは私の負けね。…あなたが、プライドを捨ててまで守りたいという覚悟はよく解ったわ。」
ここで、潔く引くのはアキの良いところでもある。

アキがびしょ濡れになった髪を避けていると、帰ってきたブルーノが二人にタオルを差し出していた。その懐には、遊星にゃんが顔を出している。

「こんな日に外でデュエルするなんて!!ジャックもアキも無茶が過ぎる!早く中に入るんだ!」
 小さくてネコでも、遊星は遊星。雷が鳴っているため、耳は倒したままだが、怖いのを耐えられるのは二人を思うからこそだ。

雷は鳴り続けているが、遊星にゃんは目元をキリッと上げて、ジャックとアキを中に入るよう促した。

「アキ…。」
「ごめんなさい、遊星。私がすこし調子に乗りすぎたわ。今度からは、構いすぎないようにするから膝にくらいはのせさせてね。」
「あ…ああ。とにかく中へ。」
言いかけた遊星の鼻先をアキの唇が掠める。再び真っ赤になった所へ、トドメの雷。

「ああっ、遊星!しっかり!!」
二重のショックに、遊星の頭脳を以てしても演算が追い付かず、とうとう気絶した遊星にゃんだった。

つづく?

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