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2010/09/15(水)
「『Lost memories...』<新章><1>-2c」
『Lost memories...』<新章><1>-2c
その音のあまりの軽さに、ブルーノとダークグラスは顔を見合わせ、遊星は、二人の手を離すと、そちらへ向かって走り出す。
「あ、遊星。走っちゃダメだよ。」
慌てて追いかけようとするブルーノの肩にダークグラスが手を置いた。
「追いかけなくていい。もう…そこに居る。」
晴天の霹靂とは、こういうことを言うのだろうか。
遊星は目の前の光景に、固まるしかなかった。
それでも、姿形は見知ったもので…。この気配を自分が、間違うわけも無くて…。
遊星が張った魔力のネットに引っ掛かって、可愛らしくコケた格好のままだが、導き出される答えは、一つきり。
おそるおそる、そこでひっくり返っている物体の名を声に出してみる。
「…スターダスト、なのか?」
遊星の問いに、白銀の星屑を撒く小さなドラゴンは、ころりと、でんぐり返しをして起き上がると、甘えるような鳴き声で「くぅ。」と答えた。
遊星が、思わず両手を伸ばせば、その腕の中に綺麗に収まる大きさ位のようだが、
重さを考えなかった事に、今さら気付く。
小さくとも、ドラゴンだということを珍しく失念していたらしい。
たが、もうスターダストドラゴンは遊星の腕に、飛び込んで来ている。
遊星は、衝撃を覚悟して身体を固くしていたが、スターダストのちびドラゴンは、恐ろしく軽かった。
その可愛らしさと安心感が混ざって、遊星は、思わず小さなドラゴンを抱きしめていた。
急に力をかけられても慌てずに、遊星に大人しく抱きしめられているのは、流石に守護竜だ。
「あまり脅かさないでくれ…。お前の姿が見えないと、俺が不安になる…。」
遊星が、吐息混じりの声で囁くと、腕の中のスターダストドラゴンが、すまなそうに一声鳴く。
スターダストドラゴンを奪われた前世の記憶の断片と、大人しく療養しない遊星に、業を煮やしたジャックによって、スターダストを封印された時に味わった、半身をそぎ落とされるような感覚は忘れようもない。
あの喪失感は、言い表せない程のものだった…。
それゆえに、遊星は、スターダストドラゴンに枷をはめることを嫌う。
自由であれば、自力でどこへなりと逃げられるその力を縛る事は、したくなかったのだ。
スターダストドラゴンを縛るのは、この世でたった一つ。
シグナ―である、遊星の命だけだ。
「謝らなくてもいい。お前が、考えてしてくれたことだ。つまりは、俺が本来の力を取り戻すまで、この姿で傍に居てくれるという訳だろう。」
通常召喚では、消費魔力が大きすぎる。
だが、このくらいの大きさならば丁度いいだろうと、スターダストドラゴンが選んだ姿のようだ。
「確かに、俺の魔力と同調してもお前は、壊れたりしない…か。」
そう、シグナ―とドラゴンは、もともと同調しているのだから。
壊れたりしない…と言った自分の言葉に、遊星は複雑な顔をしていたが、肩の力を抜くと、スッと目を細めて守護竜の頭を撫でた。
「それにしても…考えたな、スターダスト。驚かされたよ。でも…ありがとう。」
遊星の礼に対して、再び小さく鳴く事で答えたスターダストドラゴンだった。
<1>-2END
<1>-3へ
その音のあまりの軽さに、ブルーノとダークグラスは顔を見合わせ、遊星は、二人の手を離すと、そちらへ向かって走り出す。
「あ、遊星。走っちゃダメだよ。」
慌てて追いかけようとするブルーノの肩にダークグラスが手を置いた。
「追いかけなくていい。もう…そこに居る。」
晴天の霹靂とは、こういうことを言うのだろうか。
遊星は目の前の光景に、固まるしかなかった。
それでも、姿形は見知ったもので…。この気配を自分が、間違うわけも無くて…。
遊星が張った魔力のネットに引っ掛かって、可愛らしくコケた格好のままだが、導き出される答えは、一つきり。
おそるおそる、そこでひっくり返っている物体の名を声に出してみる。
「…スターダスト、なのか?」
遊星の問いに、白銀の星屑を撒く小さなドラゴンは、ころりと、でんぐり返しをして起き上がると、甘えるような鳴き声で「くぅ。」と答えた。
遊星が、思わず両手を伸ばせば、その腕の中に綺麗に収まる大きさ位のようだが、
重さを考えなかった事に、今さら気付く。
小さくとも、ドラゴンだということを珍しく失念していたらしい。
たが、もうスターダストドラゴンは遊星の腕に、飛び込んで来ている。
遊星は、衝撃を覚悟して身体を固くしていたが、スターダストのちびドラゴンは、恐ろしく軽かった。
その可愛らしさと安心感が混ざって、遊星は、思わず小さなドラゴンを抱きしめていた。
急に力をかけられても慌てずに、遊星に大人しく抱きしめられているのは、流石に守護竜だ。
「あまり脅かさないでくれ…。お前の姿が見えないと、俺が不安になる…。」
遊星が、吐息混じりの声で囁くと、腕の中のスターダストドラゴンが、すまなそうに一声鳴く。
スターダストドラゴンを奪われた前世の記憶の断片と、大人しく療養しない遊星に、業を煮やしたジャックによって、スターダストを封印された時に味わった、半身をそぎ落とされるような感覚は忘れようもない。
あの喪失感は、言い表せない程のものだった…。
それゆえに、遊星は、スターダストドラゴンに枷をはめることを嫌う。
自由であれば、自力でどこへなりと逃げられるその力を縛る事は、したくなかったのだ。
スターダストドラゴンを縛るのは、この世でたった一つ。
シグナ―である、遊星の命だけだ。
「謝らなくてもいい。お前が、考えてしてくれたことだ。つまりは、俺が本来の力を取り戻すまで、この姿で傍に居てくれるという訳だろう。」
通常召喚では、消費魔力が大きすぎる。
だが、このくらいの大きさならば丁度いいだろうと、スターダストドラゴンが選んだ姿のようだ。
「確かに、俺の魔力と同調してもお前は、壊れたりしない…か。」
そう、シグナ―とドラゴンは、もともと同調しているのだから。
壊れたりしない…と言った自分の言葉に、遊星は複雑な顔をしていたが、肩の力を抜くと、スッと目を細めて守護竜の頭を撫でた。
「それにしても…考えたな、スターダスト。驚かされたよ。でも…ありがとう。」
遊星の礼に対して、再び小さく鳴く事で答えたスターダストドラゴンだった。
<1>-2END
<1>-3へ