ヤーコプ・フォン・ユクスキュルというドイツの生物学者は、「環世界」という生物界の概念を提唱しました。

動物はそれぞれ種特有の環境の中で生きており、その特有の環境からものを見、考え、行動している、と。

例としてマダニというダニがあります。このダニは密林の木の上で、自分の下を通過する温熱動物の哺乳類をじっと待っています。

通過した途端、その上に落下して、それを住処とし、吸血します。落下の動機は、下を通過する哺乳類の「体温」と、その哺乳類が発する「酪酸」の匂いの二つだけ。マダニの人生に必要なのはこの二つだけ。他のものは一切必要としません。

ただ木の上で、一生、じーっと、いつ通るかもしれない動物の体温と酪酸の匂いだけを待っています。

人間となんて違うんだろう・・・、と思われるかもしてませんが、「体温」と「酪酸」を、「お金」と「健康」にしたらそっくりそのまま人間です。

その二つさえ十分あれば他に何もいらないでしょう。世の中のもの全て金で買えますからね。それにありあまる体力があれば、どの人もうらやむ充実した人生になるでしょう・・。ただ、それで終わってしまえば、ダニと一緒です。

お金と健康ってもちろん大事ですけど、自分の人生全部が全部100％それだと、、ちょっと。

日蓮大聖人は、「蔵（くら）の財（たから）より身の財、身の財より心の財第一なり」と言いました。

心の財とは、法華経の信仰です。心のために身と蔵がある。いきなりなんでそうなるの？と思うかもしれませんが、しのごの言ってるより、試しに南無妙法蓮華経とひまがあったら唱えてみてください。金もかからないことだし。自分の人生ダニ以下で終わらせるのはダメです。見かけの生死（しょうじ）だけで思考停止になって、死んた後まで後悔するのは悲しすぎます。