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ギトンのあ-いえばこ-ゆ-記(旧)

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ここは、2015.3.10.までの過去日記倉庫です。

2013/05/13(月)
「さくらの幽霊(3)」

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ずいぶんと脱線してしまいましたが、このへんで宮沢賢治に戻りませうww

http://id43.fm-p.jp/530/giton/index.php?module=viewbk&action=ppg&stid=1&bkid=990474&pgno=15&bkrow=0

4〜5本の「さくらの幽霊」は、牧草地☆の奥の雑木林に生えている野生のオオヤマザクラだと判明したので、
次には、それらの生えている地点を確定することにしましょう。

☆(注) 岡澤氏が推定するように、「青草の高み」は、スロープになった耕地に蒔かれた燕麦の芽と思われます(『賢治歩行詩考』p.64.)。牧草と作物を輪作する穀草式農業だから(同,p.66.)牧草でもおかしくないと思ったのですが、帰路の「パート九」【下書稿】に、「腐食質から燕麦が生え」とありますから、これは燕麦でしょう。

http://blog.crooz.jp/gitonszimmer2/ShowArticle/?no=154
↑下のほうの「下丸5〜8号 拡大図」というところを見てください。
賢治は、「白樺の交差路」から農道(緑色の路)のほうへ進んで来ました。農道は、「下丸5号耕地」を横断して、雑木散生地のへりを通り、「下丸7号」と「下丸5号」の境界を北へ(上へ)向かいます。キジが出て来たのは、雑木散生地からでした。
「下丸7号」は、北東方向へゆるやかにせり上がってゆく「青草」のスロープで、その向こうの高みに「へ3」林区があります。岡澤氏の推定によると、「幽霊桜」が見えたのは、この「へ3」林区になります。赤の矢印‘↑’は、その時の賢治の位置です。
「へ3」林区の西隣りには「四ツ森」という小さな丘があり、木が鬱蒼と茂って視界をさえぎっています。

逆に、小岩井小学校方面から戻って来るときには、「四ツ森」に差しかかる前に、赤矢印‘→’の地点で、「幽霊桜」が先に見えることになります。そのあと、「四ツ森」を通り越してから、「下丸7号耕地」が見えるようになります。
この戻って来るときの見え方を書いているのが「パート九」です。その部分を引用してみましょう:
http://id43.fm-p.jp/530/giton/index.php?module=viewbk&action=ppg&stid=1&bkid=990474&pgno=24

01すきとほつてゆれてゐるのは
 さつきの剽悍な四本のさくら
 わたくしはそれを知つてゐるけれども
04眼にははつきり見てゐない
 ………………………………
35さうです 農場のこのへんは
 まつたく不思議におもはれます
 どうしてかわたくしはここらを
 der heilige Punkt と
39呼びたいやうな氣がします

このように、さきに「さっきの…四本のさくら」が見えてから──とは言っても林区「へ3」を通して見るので、はっきりとは見えていません──しばらく歩いた後で、der heilige Punkt (聖なる地)★が見えるようになります。

★(注) der heilige Punkt 〔発音:デァ・ハイリゲ・プンクト〕はドイツ語で、「神聖な地点」という意味。“der”は定冠詞。

つまり、「聖なる地」とは、下丸7号耕地のことだと思われます。
その「聖なる地」の奥に鎮座するのが4本の「さくらの幽霊」というわけです。

この下丸7号耕地は、現在の写真で見ても、たしかに一種独特の雰囲気を醸し出しています:http://blog.crooz.jp/gitonszimmer2/ShowArticle/?no=154

おそらく、周りを森や林地で囲まれた閉鎖的な空間で、しかも、奥のほうへせり上がってゆくゆるやかなスロープになってるので、そう感じるのでしょう。
しかも、奥の「へ3」林地の後背には、ちょうど岩手山の主峰が見えるのです。

はるか奥に神の座がある広大な神殿──という趣きでしょうか…
(つづく)
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