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EDD日記dr

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他じんせいのくのうなど。

2010/10/01(金)
「だれもみてないはず2」

「…俺には心に決めた女性がいるんだよ」
・・・ポール・フェニックス?なんというかこんな俺にとって俺の倍以上もの年齢を誇るおっさんの恋愛の話、なんていうものを、出来れば俺は聞かずに置きたい。だってなんだか…
「忘れもしない・・俺は鉄拳トーナメント第二大会のときに初めて彼女を見た・・・」「BBQ味」を口に運ぶ速度が遅くなっている。過去を回想しているモードだ。これは。俺が聞いていようがいまいがどうでもいいのだ。

む…。しかしそれにしても・・鉄拳2で女というと、インディアン少女のミシェール・チャンだとか、あの三島一八と子をもうけたという風間準だとか、暗殺者のニーナ・ウィリアムスとかその妹のアンナ・ウィリアムスとかなんとか。そういうポリゴンっぽい女達が参戦していたことを、俺はあの大会にやけに詳しい知り合いの刑事から聞いたことがあるが・・そのうちの誰かってことか・・・?。思わず沈黙して考えにふける俺の横で、ポールはBBQ味をくわえたまま、虚空に向かって呟いた。
「プラチナのブロンドで・・・」
・・・・・・・・・・ブロンド。
俺は「あぁ・・」と呟いた後、なんと言葉を発したらいいかわからず黙りこくった。

・・・これはもう確定的というやつだろう。他にいないもの。鉄拳2の金髪の女。……ニーナ・ウィリアムス。暗殺者としてその筋では有名人だそうだ。俺にとって非常に深い曰く因縁のある人物であって、だが、それについて今はあまり語りたくない、ついでにその必要もないだろ?俺が一人でいろいろな思索に耽っているというのにも拘らず、ポールのつぶやきは続いた。
「・・・・第2大会中に、俺は確かにこの目で彼女を見た・・同じようにそこにいた多くの皆が彼女を見たはずなんだ。だが誰も見ていないという。ミシェールも、ロウも、ニーナも、そこにいたのに!そんな女性は見ていないと言うんだ。おかしいだろ?みんなが見たのは紫色の、羽の生えた、ミシマカズヤ似の悪魔だって言うんだぜ?俺にとっては初恋の相手だった…。頭に月桂冠なんか巻いてさ、翼を持っていて…さながらエンジェルのようだった。そんな彼女のことを誰も見ていないと言い張るんだ!信じられねぇ。みんなして俺をたばかってるんだ。彼女はそこにいたのにさ。ひでぇ、ひでぇよ!!誰も彼女の名前すら俺に教えてくれなかった。うぅ、ひでぇ・・。」
BBQを放り出し、泣き崩れるポールを見遣りながら、俺は俺の頭上に大量の「はてなマーク」が乱舞する光景を、俺は自分の目で初めて確認した。




俺があとになって、この大会にやけに詳しい現職警官に聞いた話によると、ポールのいう彼の「初恋の人」はその後「タッグトーナメント」で彼と直接まみえる機会があったのだという。だがポールはまさか眼前に立つ、その紫色した悪魔めいた男が自身にとっての「初恋の人」だとは夢にも思わない様子で、そして勇ましく殴りかかっていったそうだ。「彼(ポール)は第二大会までは、すごく純粋だったからねぇ…」現職警官は呟くようにそう言うと、それ以上は語らず、窓の外で散ってゆく紅葉を眺めていたのだった…。(FIN)

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